目的:様々な発癌因子や体細胞遺伝子の突然変異が原因となり細胞の悪性転化が引き起こされる。自律的な増殖能と転移能を獲得したこの細胞が癌細胞である。自律的に増殖する際には、DNAの複製により増殖するため、同一クローンが倍数的に増殖すると考えられてきた。しかし、生体内の癌組織の増殖速度が、原発巣と転移巣で異なっている場合があること、薬剤や放射線の反応性が原発巣と転移巣で異なっていることも経験される。また、原発巣内でも部分的に治療効果の違いを認めることがある。
悪性腫瘍の発生についてビッグバンモデルが提唱されている。ビッグバンモデルの増殖様式の模式図を示す(図17)。
(Gerlinger M, Rowan AJ, Horswell S, et al. Intratumor heterogeneity and branched evolution revealed by multiregion sequencing. N Engl J Med. 2012; 366:883-892.
Sottoriva A, Kang H, Ma Z, et al. A Big Bang model of human colorectal tumor growth. Nat Genet. 2015;47:209-216.)

 

図17
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方法:
ビッグバンモデルのシミュレーションの仮定

・ 腫瘍は単クローン性に倍加して増殖する。
・ その発生の初期段階で突然変異を起こして異なるクローン性(放射線感受性)を獲得する。
・ 各クローンの倍加時間は腫瘍の体積倍加時間の文献的な時間を参考にポアソン分布すると仮定してランダムに発生させる。
・ 各クローンの3次元空間での広がりは正規分布に従う。
・ 発生するクローンは培養実験で用いている7種類の細胞(SCC13,SQ5,SQ20B,DU145,DLD1,SCC61,HFLIII)のいずれかの放射線感受性をランダムに与えられる(表2)。放射線感受性が最も高いのがHFLIIIで最も低い(抵抗性)のがSQ20Bである。

・ 以上の仮定の下で、3次元空間で増殖する腫瘍モデルが図18

 

表2
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図18
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