乳房温存療法を行い乳房へ 2Gy, 5fr / w, 50Gy / 25fr(±10G y/ 5frブースト)を受けた患者さんの皮膚紅斑の程度を経時的に分光測色計CM-2500d(KONIKA-MINOLTA)を用いて観察しました。L*a*b*表色系で得られたデーターを色相、彩度、明度に変換し、さらに対数変換すると線形回帰することができます。従って、この結果をGLQモデルに当てはめました。また、正常組織は照射前の状態以上には改善しないのでS [ t ] の極限値は1.0になるように設定します(図8)。以上のGLQモデルの結果を、上半身の形状を3Dで表記し右乳房への照射を仮定して再現したのが図9です。同時に対応する色相(Hue)、彩度(Saturation)、明度(Brightness)の変化を左の3次元グラフに表しました。

 

図8. 皮膚紅斑のパラメーターのGLQモデルを用いた時間-線量-効果関係
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図9. skin color
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 乳房温存療法での放射線治療を行ってみると、乳房の大きい患者さんほど皮膚反応が強い傾向を認めます。欧米では乳房の大きな患者さんが多いために、乳房の大きい患者さんでは皮膚反応が強いということが報告されています(Dundas KL, Atyeo J, Cox J. What is a large breast? Measuring and categorizing breast size for tangential breast radiation therapy. Australian Radiology. 51(6):589-593,2007)。私の研究に協力して頂いた患者さんの乳房の大きさを照射の治療深度によって3群に分けて分析したところ、治療深度が長くなるに従って皮膚反応は強くなることがわかりました。すなわち乳房が大きくなるに従って皮膚反応が強くなるわけです。GLQモデルに当てはめた色相、彩度、明度の結果を図10に示します。乳房の大きさにより3D表記した乳房に再現したのが図11(照射期間は赤い数字で表す)です。回帰曲線では照射前の基準の値が一致していません。小さい乳房の患者さんの方が元々の皮膚の色が明るかったと思われます。傾向として乳房の大きい方が経時的に皮膚反応が強く表れることをほぼ再現されていると思います。

 

図10
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 最近では、高精度の放射線治療が可能になり、小さな肺癌に対して大線量を少数分割で照射する定位照射が行われるようになってきました。例えば1回12Gyを4日連続して48Gy照射することが可能です。LQモデルあるいはLQTモデルを用いると加速再増殖を起こす時期に至らずに照射が終了します。これらのモデルでは、毎日の照射で4日で終了しても、週1回照射して4週間で照射しても生物学的効果は変わらないことになります。一方GLQモデルを用いると50Gy/5frを4日(初回をday0とした)で照射、または週1回で28日に照射したときの生存率の差を示すことが出来ます(アポトーシスと分裂死の比率は5:95と仮定した)(図12)。

図12. 大線量少数分割照射での治療期間の差による生存率の比較
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左肺尖部の扁平上皮癌で50Gy/5fr/4dの治療を行った時のCTによる経過観察を図13に示します。

 

図13. 左肺扁平上皮癌のSRT後の経過
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この患者さんの照射とその後の経過をGLQモデルでシミュレーションしてみました。扁平上皮癌のα/βは10とし、体積倍加時間112.5日(CHEST 1974 : 65 : 3 - 8より計算)、半減期74.5日としました。そのシミュレーションを図14に示します。この図は、癌細胞が3次元空間にランダムにガウス分布して存在すると仮定して、各黒点が Clonogenic cell を表しています。腫瘍の増殖率を10%と仮定し、間期死(アポトーシス)を5%と仮定しました。照射の効果はしばらくして表れ、細胞死して消えていく様子がわかります。図12で 50Gy/5fr を週1回の割合で照射したときの腫瘍の経時的動態を図14の右図(B)に示しました。図14で腫瘍が赤くなっている期間は照射期間を現しています。照射期間が遷延することで照射効果が遅れ、悪いことがわかります。

 

図14. SBRT_SCC
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 組織学的に腫瘍が縮小していく様子をシミュレーションしました。前立腺癌のα/βは小さいといわれますが、ここでは前立腺癌の培養細胞のDU145の生残率曲線から求めた値を用い、α=0.22, β=0.039, α/β=5.64としました。2Gy/fr, 5fr/wで74Gy/37frを照射したときの線量効果関係をボロノイ図を用いてシミュレーションしてみました(図15)。

 

図15. Voronoi-Prostate
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