放射線治療の効果は照射期間、総線量、1回線量、分割回数によって決定されることが1960年代に示されました。ある効果を示す線量(D)は治療期間(T)の関数で与えられ、D ∝ kT c で表されることが L.Cohen によって示されました(図3)。その後に放射線治療による正常組織の耐容線量を指標とした線量分割関係が F .Ellis, CG .Ortonによって提案され、長らく放射線治療の処方箋として用いられてきました。

 

図3. 放射線治療における分割照射の意義を解析 (L. Cohen, 1960)
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 一方、培養癌細胞への放射線照射後のコロニー形成率を測定した結果をもとに、線量と生残率を測定した結果、直線2次(LQ)モデルSF = Exp [ -n (αd+βd 2 ) ]でよく表されることが証明されています(図4)。放射線に曝露した細胞は修復機構によって亜致死障害から経時的に回復(SLDR)する現象が知られています。分割照射の場合、各分割間隔内で完全に回復したと考えればn回の分割照射後の生残率はSF = Exp [ -n (αd+βd 2 ) ]になるはずです(図5)。この理論をもとに分割照射による生物効果を表す指標として、指数部分を線量(Gy)単位になるように変形した生物学的効果線量(BED=nd [1+d/(α/β)] ) が提案されています。

 

図4. 培養細胞の照射後のコロニー形成率直線-2次モデルで説明
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図5. 多分割の効果
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